何故、年金事務所では書類をまとめてもらえないのか?

「年金事務所で診断書がもらえないんです」
  ご依頼いただくお客様から、しばしば言われることが、
 
  タイトルにもありますが、
 
  「年金事務所に行っても、申請するための診断書がもらえない」
 
  ということです。
 
 

けっして「いじわる」で、そうしている訳ではない
  これはもち論、年金事務所で意地悪をしている訳ではありません。
  それなりの理由がある、と思います。
 
 
  障害年金を申請するには、少なくとも
 
  「現在の状態を記入した診断書」
 
  を医師に書いてもらう必要があります。
 
 
  診断書と言っても、よく会社に提出するような
 
  「○○週間の静養を要す」
 
  みたいな簡単な書類ではなく、
 
  障害の部位ごとに、詳細な記入が必要な、専用のものです。
 
 
  この診断書を書いていただくにも、1万円程度お金がかかります。
  (個人的な経験では、5,400円~21,600円まで。まちまちです。)
  
  また、障害が複数ある場合などは、その分診断書が何枚も必要になります。
  (むやみに何枚も付ければいいものでもないですが・・。)
 

せっかく書いてもらっても・・・書き直し!
  でも、せっかく高いお金を払って、
 またお医者さんもお忙しい中時間を作って書いてもらった診断書が
 
  「書き直し!」
 
  になってしまうことがあります。
診断書の前に「受診状況等証明書」を書いてもらう
  病気になって初めて受診した医療機関に、その後もずっとかかり続けている、というケースは珍しいと思います。
 
  多くの方は途中で転院していると思いますが、その場合は診断書とは別に
 
  「受診状況等証明書」
 
  という書類をお医者さんに書いてもらい、提出する必要があります。
 
 
  この「受診状況等証明書」とは、あくまでも証明書とあるように、
 
  「この人は、いつ頃具合が悪くなって、いつが初診日です」
 
  ということを証明してもらう書類です。

やっぱり「初診日」が重要
  障害年金は、初診日の時点で
  どの年金制度(国民年金・厚生年金・共済年金)に加入していたか?
  が大事であって、それによって受給できる年金が変わります。
 
  そのため上記の「受診状況等証明書」が必要になりますが、実は診断書にも、この初診日を記入してもらう必要があります。それも、診断書を書いてもらった病院の初診日ではなく、他院も含めて、あくまでも「最初に受診した日」です。
  ここで、受診状況等証明書と診断書に整合性が取れない場合は、診断書の訂正が必要になってきます。
 
  
  また、遡って年金を申請する場合には、「障害認定日時点」での診断書が必要になります。
 
  診断書を書いてもらった後になって、
 
  「やっぱり初診日が違っていた」
 
  となりますと、
 
  障害認定日が変わってしまいます。(障害認定日=初診日から1年6か月後)
  そして、
診断書書き直し!
 ということになる・・・。
 
まとめ

  そんなことを防ぐために、年金事務所では「一度に書類を渡さない」ようにしているんだと思います。(内部の人間ではないので、断言できませんけれど。)
 
 
  まずは初診日をはっきりさせて、
  (受診状況等証明書を書いてもらって。)
 
  それから診断書を書いてもらう。
 
  この順番は、非常に重要です。
 
  これが逆になってしまったら、全くダメ。
 
 
  障害年金の申請が初めての方が、
 
  年金事務所に相談に行かれていますから、
 
  「順番に指示通り書類を揃える」
 
  というのは必要な指導だと思います。
 
 
  なんか・・・大した内容でもないのに、
 
  やたら長い文書になってしまいました・・・。(くどかった?)
 
  お付き合いくださいまして、ありがとうございました。 (社会保険労務士 海老澤亮) 
 
			