障害年金社労士の独り言 ~ 病気になって申し訳ない。

障害年金社労士の独り言 ~ 病気になって申し訳ない。

今回も自称、障害年金社労士が勝手な独り語りをしてみます。テーマは「病気になって申し訳ない」です。自称、ガン・サバイバーの私が自分の経験を交えて考えてみようと思います。よろしくお願いします。

病気になるのは自己責任なのか

自分の話で恐縮ですが、うちの父は53歳で亡くなりました。私が高校2年生の時でした。長年患っていた糖尿病が原因だと思います。

毎日酒を飲む、というような生活はしていませんでしたが、一度酒を飲みますと、酒に飲まれてしまうのか大酒を飲み、翌日は2日酔いで仕事を休む、というようなこともありました。おそらく、その深酒が原因だったのでしょう。糖尿病になり、しばらくして合併症を発症しました。私が中学生の頃は、糖尿病性網膜症で視力は極端に落ち、高校1年の時に脳血栓でマヒが残り、リハビリを続けていました。しかし翌年、歯痛から顔がパンパンに張れ、大学病院に入院しましたが、敗血症で亡くなってしまったのです。

父は亡くなるしばらく前に、

「身から出たサビだ」

と言っておりました。

こういう話は、国会議員の先生がされて話題になったこともありますが、「自己責任」論になるのでしょう。

そもそも医師から忠告を受けていたにもかかわらず、その通り健康改善をはからなかった父が悪い。

それは、ある意味において、正論だと思います。糖尿病のような生活習慣病は、特にそう思われるのではないでしょうか。

しかし、息子である私が父の境遇を考えると、父に同情する点も多い、と今になって思うのです。父の生い立ち、家族の問題・・・。父なりに苦労をして生きた人生を思うと、「身から出たサビ」だとは簡単に言えません。

正論は大事なのかもしれません。しかし、私は正論が嫌いです。

正論は優しくない。正論は刃物と一緒。切り捨てるのは簡単。

正しいことは重要なのでしょう。でも、それだけでは人は救われません。正論をもって「馬鹿な奴だ」「自己責任だ」というのは簡単です。

「無知なのが悪い。世間は、無知な奴には優しくない」

それが社会の一面かもしれません。でも、人間は環境の生き物とも言いますし、環境に大きく人生を左右されます。

それに、もし「身から出たサビ」だとしても、病気になった人は十分責任を負わされている。病気と付き合っていかなくてはならない。場合によっては病気が治らず、寿命を全うできない。それだけで十分じゃないでしょうか。

勿論、そもそも病気は本人のせいとは言えないものの方が、断然多い。

誰も好き好んで難病にかかる訳ではない。遺伝性の病気を受け継ぐ訳ではない。その方が、他の方の代わりに「引き受けてくれている」。私はそんな風に考えてしまいます。そう思うようになったのは、東日本大震災で多くの方が犠牲になってから。落ち度があろうがなかろうが、天は不条理に命を奪う。結局のところ、人間に出来る事は限られています。どんなに正しい行動をとっても、世の中は不条理ですし、人の思うように物事が運ぶ訳ではありません。

同じような生活習慣であっても、病気になる人もいれば、ならない人もある。自己責任だというのは、ちょっと違うと私は思います。

しかし、残される家族を思うと、自分を責めてしまう

何度も言うように私はガン・サバイバーです。そのため、「自分が死んだら」ということを切実に考えた経験はあります。結局、最後は家族が心配です。自分の事も勿論心配ですが、残される家族に迷惑をかけたくない。つらい想いをさせたくない。そういう考えが、ぐるぐる頭の中を回り続けます。

もっと生きられたら。

せめて子供が就職するまで。

せめて定年退職し、退職金をもらうまで。

せめて、これまで苦労をかけた妻には、これ以上苦労をかけたくない。

せめて、母より長生きしたい。母を悲しませたくない。

そう考えると、自分の事を責めてしまいます。

なんで俺は病気になったんだ。

もっと人並に平均寿命まで生きられたら。

平均寿命より10歳若くてもいいから生きられたら。全くだらしがない。俺は。

そう、自分を責めてしまう。残される家族の身の上を案じる。自分の人生の後始末はきちんとできるだろうか? 考えがあちこち彷徨う。家族に申し訳ない。

でも、家族はご病気になられた方を責めるだろうか?

でも、私の経験上、家族は病気になった者を責めたりはしません。

病気で落ち込んでいるとき、普段口うるさい母は優しく、お粥をつくってくれました。家内も一言も文句を言わずに、毎日病院に見舞いに来てくれました。子供たちはよく分からなかったと思いますが・・・。

愛する家族は、あなたのことを一生懸命看病し、どうぞ無事で、なんとか生き延びてほしい、と願うでしょう。

別にお金をもっと稼いでもらうためにとか、そんな経済的な心配よりも、あなたの存在そのものがいとおしいから、無償の愛情で心配してくれているから、だと思います。

だから、もしあなたがご病気になられても、自分を責めないでいただきたいのです。だれも好きで病気になる訳ではありません。(仮病はさておき。)あなたは他の人の分も引き受けたのだと思います。ですので、自分を粗末にせず、ご家族を信頼して、生きぬいていただきたい。

人間に出来る事は限られています。思うようにいかないことは多い。あなたは苦難を背負った。

もしかすると正論をいう人はいるかもしれない。でも、あなたはご家族のために生きてほしい。正論をいう奴には言わせておいて。

何度も言いますが、あなたは悪くないと思います。自分を責める、その重荷をどうぞ脱ぎ捨てて、ご家族と一緒にご病気を乗り越えていただきたい。ご家族を信頼して。今こそ、家族の力を発揮するときなんだと思います。

なんだか、全然まとまりのない文章を書きました。でも、ただでさえご病気の苦しみを背負われている方には、それ以上の苦しみを背負ってほしくないのです。自分を責めないでください。また、もし私で役に立つことがあれば、精一杯お手伝いしたい。そう思って、頂いた命を生きています。本日もお付き合いくださいまして、ありがとうございました。(社会保険労務士 海老澤亮)