高次脳機能障害で障害年金を申請される方へ その2

高次脳機能障害で障害年金を申請される方へ その2

今回も前回に引き続き、高次脳機能障害で障害年金を申請される方へ向けて書いていきたいと思います。高次脳機能障害の障害年金申請は、手間もかかりますし、難易度もそれなりだと思います。

前回は「精神の障害」を中心に見てまいりましたが、今回は「言語機能の障害」を中心に見ていきます。(「肢体の障害」については、次回「脳梗塞後遺症で障害年金を申請される方へ」という記事を書く予定です。その際に詳述します。申し訳ありません。)

高次脳機能障害により、聴く、話す、読む、書くなどの言語障害が生じることがあります。(失語の障害と言います。)失語の障害については、「言語機能の障害」の認定基準で認定します。(精神の障害等と「併合認定」されます。ちょっと難しいですが・・・。)それでは、厚生労働省の「障害認定基準」を確認していきましょう。

音声または言語機能の「障害認定基準」を確認する

2級 音声又は言語機能に著しい障害を有するもの
3級 言語の機能に相当程度の障害を残すもの
障害手当金 言語の機能に障害を残すもの

⇒ これだけではよく分かりません。

2 認定要領
(1)音声または言語機能の障害とは、発音に関わる機能または音声言語の理解と表出に関わる機能の障害をいい、構音障害または音声障害、失語症および聴覚障害による障害が含まれます。
ア 構音障害または音声障害
  歯、顎、口腔(舌、口唇、口蓋等)、咽頭、喉頭、気管等の発声器官の形態異常や運動機能障害により、発音に関わる機能に障害が生じた状態のものをいいます。

イ 失語症
  大脳の言語野の後天性脳損傷(脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷や脳炎など)により、いったん獲得された言語機能に障害が生じた状態のものをいいます。

(以下中略)

⇒ 用語の定義を示しています。

(2)「音声または言語機能に著しい障害を有するもの」とは、発音に関わる機能を喪失するとか、話すことや聞いて理解することのどちらかまたは両方がほとんどできないため、日常会話が誰とも成立しないものをいいます。

⇒ 「日常会話が誰とも成立しない」とは、診断書裏面「(5)音声又は言語機能の障害」「ア 会話による意思疎通の程度」 欄が最重度(4 患者は発音に関わる機能を喪失するか、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方がほとんどできないため、日常会話が誰とも成立しない)に該当する必要があるでしょう。

(3)「言語機能に相当程度の障害を残すもの」とは、話すことや聞いて理解することのどちらかまたは両方に多くの制限があるため、日常会話が、互いに内容を推論したり、たずねたり、見当をつけることなどで部分的に成り立つものをいいます。

⇒ 「日常会話が、互いに内容を推論したり、たずねたり、見当をつけることなどで部分的に成り立つもの」とは、診断書裏面(5)「音声又は言語機能の障害」「ア 会話による意思疎通の程度」 欄が(3 患者は、話すことや聞いて理解することのどちらかまたはその両方に多くの制限があるため、日常会話が、互いに内容を推論したり、たずねたり、見当をつけることなどで部分的に成り立つ)に該当する必要があるでしょう。

なお、診断書は下記のURLをご参照くださいませ。

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todoke/shindansho/20140421-17.html

h(4)「言語の機能に障害を残すもの」とは、話すことや聞いて理解することのどちらかまたは両方に一定の制限があるものの、日常会話が、互いに確認することなどで、ある程度成り立つものをいいます。

⇒ これは診断書裏面(5)「音声又は言語機能の障害」「ア 会話による意思疎通の程度」欄が(2 患者は、話すことや聞いて理解することのどちらかまたはその両方に一定の制限があるものの、日常会話が、互いに確認することなどで、ある程度成り立つ)に該当する必要があるでしょう。

(5)構音障害、音声障害または聴覚障害による障害については、発音不能な語音を評価の参考とします。発音不能な語音は、次の4種について確認するほか、語音発語明瞭度検査等が行われた場合は、その結果を確認します。
ア 口唇音(ま行音、ぱ行音、ば行音等)
イ 歯音、歯茎音(さ行、た行、ら行等)
ウ 歯茎硬口蓋音(しゃ、ちゃ、じゃ等)
エ 軟口蓋音(か行音、が行音等)

⇒ こちらは診断書裏面 (5)「音声又は言語機能の障害」の「イ 発音不能な語音」欄が重要になります。

(6)失語症については、失語症の障害の程度を評価の参考とします。失語症の障害の程度は、音声言語の表出および理解の程度について確認するほか、標準失語症検査等が行われた場合は、その結果を確認します。

(7)失語症が、音声言語の障害の程度と比較して、文字言語(読み書き)の障害の程度が重い場合には、その症状も勘案し、総合的に認定します。

⇒ こちらは診断書裏面 (5)「音声又は言語機能の障害」の「ウ 失語症の障害の程度」欄が重要になります。診断書は年々改良されていますが、この「言語機能の障害」に関しては特に改良されています。(以前は記入欄がちょこっとで、大したことは書けませんでしたが・・・。)

(以下省略)

「障害認定基準」としてはちょっと抽象的なものが多い印象です。
ただ、診断書裏面(5)「音声又は言語機能の障害」「ア 会話による意思疎通の程度」欄が重要という事は言えます。

診断書の補足

高次脳機能障害については、「精神の障害」用の診断書を書くお医者さんは、精神科である必要はありません。(てんかんも同様ですが・・・。)脳外科・小児科(主にてんかんの場合)・神経内科・リハビリテーション科・脳神経外科などの医師でも作成可能です。診断書の裏面から「精神保健指定医の登録番号」を記載する欄がなくなったのもそのせいです。

とはいえ、個人的には精神科の医師に診断してもらい、診断書を書いてもらう方がいいのではないか、と思います。

障害認定日について

障害認定日の特例というものがあります。通常、初診日から1年6カ月が経過した日が「障害認定日」とされ、障害年金の請求が可能になりますが、この特例を適用すれば期間を早めて年金請求が可能になる、というものです。

脳血管疾患の場合も

「脳血管疾患による肢体障害等で、初診日から6カ月経過後の症状固定の場合は、症状固定日」

が障害認定日とされます。

しかしながら、同じ脳血管疾患だとしても「高次脳機能障害」については特例は適用されず、初診日から1年6カ月が経過した日が障害認定日となります。ご注意くださいませ。

最後に、厚生労働省で以前発表された「障害認定事例」をご紹介します。

http://www.shogai-nenkin.com/kojinokino-jirei.pdf

肢体の障害については、ボリュームの関係で紹介できませんでした。(次回の「脳梗塞後遺症で障害年金を申請される方へ」をご参照くださいませ。)

今回は「言語機能の障害」の「障害認定基準」を紹介しましたが、例えばこれで3級に認定されるとしますと、その他の「精神の障害」「肢体の障害」で認定される等級と「併合認定表」を用いて、認定されることになります。

といっても、話がややこしくなるので割愛します。とりあえずのところ、診断書は「精神」「言語機能」「肢体」の3種類書いてもらい、提出されることをお勧め致します。

長々とお付き合いくださいまして、ありがとうございました。(社会保険労務士 海老澤亮)