「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取り扱いについて」を読む。 「第三者証明」編 その2

「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取り扱いについて」を読む。 「第三者証明」編 その2

今回も前回に引き続き、「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取り扱いについて」を読んでいきます。

難解な文書で??? と思われるかと存じます。もしご興味があれば、お付き合いくださいませ。

20歳前に初診日がある場合の第三者証明の取扱いについて

前回は20歳以降に初診日がある場合でした。今回は20歳前で取り扱いは随分違います。

2.20歳前に初診日がある場合の第三者証明の取扱いについて
(1)20歳前に初診日がある場合の第三者証明の基本的取扱いについて
① 第三者証明による初診日の確認について
20歳前に初診日がある障害基礎年金の請求に当たり、初診日の医証が得られない場合においては、請求者が20歳前に発病し、医療機関で診療を受けていたことを明らかにする第三者証明により、請求者申立ての初診日を認めることができることとする。
20歳前に初診日がある障害基礎年金については、給付内容が単一であり、請求者が少なくとも20歳より前に、医療機関で請求傷病での診療を受けていたことが明らかであると確認できればよいことから、初診日を証明する書類が第三者証明のみの場合であっても、第三者証明の内容を総合的に勘案して、請求者申立ての初診日を認めることができることとする。

⇒ 20歳前の初診に関しては、第三者証明のみでも初診日と認めることができる、とされています。(この点は、20歳以降の初診の場合とは違います。)この取扱いは、本来厚生労働省の通知で弾力的運用として認めていたはずでしたが、年金機構内では別の内部指示が出され、そのため認められなかったものも多かったと聞いています。今後はそのような扱いは減るものと思われます。

② 第三者証明は、基本的に次のアからウのいずれかに該当するものであること。
ア 第三者証明を行う者が、請求者の初診日頃又は20歳前の時期の受診状況を直接的に見て認識していた場合に、その受診状況を申し立てるもの
イ 第三者証明を行う者が、請求者や請求者の家族等から、請求者の初診日頃又は20歳前の時期に、請求者の初診日頃又は20歳前の時期の受診状況を聞いていた場合に、その聞いていた受診状況を申し立てるもの
ウ 第三者証明を行う者が、請求者や請求者の家族等から、請求時から概ね5年以上前に、請求者の初診日頃又は20歳前の時期の受診状況を聞いていた場合に、その聞いていた受診状況を申し立てるもの

⇒ 第三者証明には「直接見て知っていた事」と「聞いて知っていた事」を区別して書くようになります。(それらは整理する必要があります。)また、概ね5年以上とは「必ず5年以上前」ということではなく、1カ月程度短くても差し支えないとのことです。

③ 20歳前に厚生年金等に加入していた者の取扱いについて
20歳前に初診日がある場合であって、当該初診日が厚生年金等に加入していた期間である場合の第三者証明の取扱いは、障害厚生年金等の支給の対象となることから、第1の1によることとする。

⇒ 20歳前に初診日があっても、その日が厚生年金保険加入中の場合は取り扱いが変わります。前回の20歳以降の初診日の場合と同様に扱われます。そのため第三者証明は、それだけでは初診日を認める資料になりません。その場合は、診察券(初診日や診療科が記載されているようなもの)、医療機関の受付簿のコピーなどの他の資料も必要になります。

(2)第三者証明の留意点について
第1の1の(2)と同様とする。

⇒ 20歳以降の初診日の証明と同様です。三親等以内の親族による第三者証明は、それだけでは認められませんが、書類としては預かってはくれるようです。(それにどれほどの意味があるかは分かりませんが・・・。)

⇒ 医師、看護師以外の「その他の医療従事者」とは「薬剤師、理学療法士、精神保健福祉士など医療機関において医学的な業務に従事する職員」とのことです。事務関係の職員は該当しないようです。また、医師以外の第三者が作成した場合は、当該医療従事者が「請求者の初診日頃の診療に携わっていた」事が詳細に証明されている必要があります。

⇒ 単数の第三者証明でも認められる場合となると、「初診日頃に申立て者が医療機関に受診していたことを知っていた」かつ「初診日頃の医療機関を受診する経過や医師からの療養の指示などが具体的に記載されていること」が必要とのことです。

⇒ 第三者の実在または第三者証明の内容に疑義が生じた場合は、第三者の身分証明書や住民票、当時の関係を確認できる資料等、第三者が協力に応じる範囲で確認を行ってください。それでもなお信憑性などの確認ができないと判断した場合(本人確認ができない、証明内容を知りうる関係・状況でなかった等)は、受け付けた上で第三者証明として認めない取扱いとしてください、とのことです。当然ながら、第三者証明はきちんと信憑性のあるものを提出しないと到底認めてはもらえないと思います。

(3)第三者証明の確認項目について
第三者証明により請求者が申し立てた初診日を適正に判断する観点から、第三者証明のついては、少なくとも以下の項目を確認することとする。
ただし、一部の確認項目に記載がない場合でも、第三者証明の信憑性を総合的に判断することとする。
① 第三者に関する項目
第三者の氏名、住所、電話番号、請求者との関係(初診日頃又は20歳前の時期の受診していた頃もしくは受診状況を聞いた頃の関係)
② 請求者の初診日頃又は20歳前の時期における医療機関の受診状況に関する項目
傷病名、初診の時期(初診の時期が不明であれば20歳前の受診の時期)、医療機関名・所在地・診療科
③ 第三者から見た請求者の状況等に関する項目
例えば、次のような事項についてできるだけ詳しく記載を求めるものとする。
・ 発病から初診日又は20歳前の受診時までの症状の経過
・ 初診日頃又は20歳前における日常生活上の支障度合い
・ 医療機関の受診契機
・ 医師からの療養の指示など受診時の状況
・ 初診日頃又は20歳前の受診状況を知り得た状況 など

⇒ 日本年金機構の「初診日に関する第三者からの申立書を提出するとき」というページを下記に貼ります。 こちらに実際の書類と記載例がありますので、そちらを見ていただいた方が分かりやすいでしょう。

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todoke/shindansho/2018042601.html

第三者証明を書いてもらう際のポイントは?

前回今回と2回にわたり難しい通知を見てきました。皆様、もしかするとわかったような分からなかったような話かと思います。

最後に、第三者証明を書いてもらう際のポイントをご紹介いたします。

・ 第三者証明はすべての項目を書かなければならない、というものではありません。分からないことを誘導して書かせる、という事は当然やめましょう。

・ おぼえている内容は、すべて、漏れなく、書いてもらいましょう。直接関係の内容な話でも、覚えていることはできるだけ書いてもらいましょう。

・ 書式は所定の用紙でなくても大丈夫です。書ききれない場合は、別紙に記載してもらってもいいと思います。その場合でも、記載が必要とされている項目は盛り込みましょう。

・ なるべく手書きの方がいいと思います。

以上、長々とお付き合いくださいまして、ありがとうございました。第三者証明は難易度が高いと思います。個人的にはある程度専門家に相談した上で進めた方がいい事案だと思います。(社会保険労務士 海老澤亮)

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