大腿骨骨頭壊死症で障害年金を申請される方へ

今回は、大腿骨骨頭壊死症で障害年金を申請される方へ向けて書いてみます。この疾患で障害厚生年金を申請される方も多いと思います。ご参考になれば幸いです。

「人工関節等を挿入置換された方」の申請が多い

弊事務所でもこの疾患で障害年金を申請される方は多いですが、これまでのところ人工関節等を手術で入れられた方が、「障害厚生年金」を申請されています。

「障害基礎年金」を申請される方は、弊事務所ではおりません。

それはどういう訳なんでしょうか? 以下でご説明していきます。

まずは「障害認定基準」を確認する

厚生労働省の「障害認定基準」の「肢体の障害」 2 下肢の障害 (2)認定要領を見ますと、(以下抜粋。太字は筆者が書いたものです。

①機能障害
ク 人工骨頭または人工関節をそう入置換したものについては、次により取り扱います。
(ア) 一下肢の3大関節中1関節以上に人工骨頭または人工関節をそう入置換したものや両下肢の3大関節中1関節以上にそれぞれ人工骨頭または人工関節をそう入置換したものは3級と認定します。
 ただし、そう入置換してもなお、一下肢については「一下肢の用を全く廃したもの」程度以上に該当するとき、両下肢については「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」程度以上に該当するときは、さらに上位等級に認定します。

⇒ 「 下肢の3大関節中1関節以上に人工骨頭または人工関節をそう入置換したもの」は、基本的に障害等級3級に認定されます。それは「一下肢」の場合も「両下肢」の場合も変わらず3級となります。そのため、基本的には「右左両方に人工関節が入っていても2級にはならない」→3級認定となります。

⇒ なお、障害等級3級は「障害厚生年金」でのみ年金が受給できます。そのため、初診日において「国民年金」の被保険者だった方は、一般的には障害年金は受給できなくなってしまいます。(厚生年金と国民年金での大きな違いで、残念な部分であります。)

⇒ そう入置換してもなお、重い障害を有する場合には2級以上の上位等級に該当することがあります。(ここでは詳細については割愛します。)


(イ) 障害の程度を認定する時期は、人工骨頭または人工関節をそう入置換した日(初診日から起算して1年6カ月を超える場合を除く)とします。

⇒ これは障害認定日の特例について書かれています。通常は、初診日から1年6カ月が経過した日が障害認定日となり、その日以降障害年金の申請ができます。しかし、初診日から1年6カ月がたたなくとも、人工骨頭または人工関節をそう入した場合は、その日が障害認定日になります。(通常より早く障害年金の申請ができます。)

診断書・病歴就労状況等申立書について

さて、ここまで細々とした決まり事を見てまいりました。

ここからは、診断書を書いていただく際の注意点、病歴就労状況等申立書作成の際の注意点を見ていきます。(他のコラムでも書いていますが。)

① 診断書を記入いただく際は、診断書の⑬欄「人工骨頭・人工関節の装着状態」を忘れずに記入してもらう。

これは、人工関節等をそう入置換している方を想定して書いております。当たり前の話ですが、そこがきちんと書かれているかどうか、念のため確認しましょう。

② 病歴就労状況等申立書の書き方

障害年金の申請で、一般の方に「負担感」があるのが病歴就労状況等申立書です。

「でも、診断書が一番大事だっていうし、診断書さえきちんと書いてあれば問題ないんじゃないの?」

と思われるかもしれません。しかし、そうはいかない。

実際、ご家族が申請されて一度不支給になった方で、弊事務所でお手伝いする際、以前の申請書類を拝見しましたところ、診断書の内容は「1級相当」でしたが不支給になった事がありました。

申立書を簡単に書いてしますと、残念な結果になる事もあるので手を抜かずに作成しましょう。

でも、どうやって作成するか? 分かりません。

といわれるでしょう。

・ 通院の頻度

・ 治療内容とその結果(改善したか? 具体的に)

・ 日常生活でどのような事に困っていたか? (困っているか?) どのような事に援助が必要だったか? 

・ 就労していた場合は、仕事の内容(時間や職場で配慮してもらったことも。)、仕事が終わった後の体調の変化

等について、時系列で書きましょう。単に受診歴を列記するだけではなく、普段の生活で困っていた事など、医学的な話以外の事も具体的に書いてみましょう。

今回は大腿骨骨頭壊死症について書いてみました。人工関節等の手術をされても、障害年金を申請されていない方も多いと思います。申請される際は、なるべく早めにご申請下さいませ。ご参考になれば幸いです。(社会保険労務士 海老澤亮)

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