糖尿病性腎不全で障害年金を申請される方へ

今回は糖尿病性腎不全で人工透析を行っている方向けに、障害年金申請の際のポイントを書いてみます。ちょっと専門的なことも書かざるを得ないと思いますが、よろしければお付き合いくださいませ。

人工透析(腹膜透析を含む)を行っている方は原則、障害等級2級

おそらくこの記事を読んでいらっしゃるような勉強熱心な方はご存知でしょうが、人工透析を受けている方は原則として障害等級2級と認定されます。

それは、「障害認定基準」にも下記のように記載されています。(以下、抜粋)

第12/腎疾患による障害

2 認定要領
(7) 人工透析療法施行中のものについては、原則として次により取り扱います。
ア 人工透析療法施行中のものは2級と認定します。なお、主要症状、人工透析療法施行中の検査結果、長期透析による合併症の有無とその程度、具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定します。
イ 障害の程度を認定する時期は、人工透析療法を初めて受けた日から起算して3カ月を経過した日(初診日から起算して1年6カ月を超える場合を除く)とします。

上記から、人工透析施行中の方は、障害等級2級以上に該当することとなります。

また、上記には障害認定日の特例についても記載されています。(イ 以降の箇所)
初診日から比較的早く人工透析に移行した方は該当するかもしれません。しかし、私自身の経験では、初診日から1年ちょっとの間に人工透析を始めた方はいらっしゃらないですが・・・。

という訳で、障害等級に関しては問題になる事は少ないと思います。



じゃあ、何が問題になるのか? (初診日)

そうすると何が問題か? 
そうなんです。初診日が問題になることが非常に多いです。

何故か?
糖尿病を発症して、それから長い年月が経過し、合併症を発症し、ついには人工透析を行うこととなってしまった。当初の糖尿病による初診日から10年、20年経過して人工透析を開始する方が多いからです。

カルテの保存義務期間は5年間。しかしながら、糖尿病性腎不全で障害年金を申請する場合は、その「糖尿病の初診日」を証明する必要がある。

ここで「困った」となることが多い。

昔の記憶をなんとか思い出し、また、身の回りに何か医療機関を受診した際のもの(診察券や診断書のコピー、お薬手帳など)がないか、色々と探してみます。

そして、そういえば最初は○○で、A病院を受診したんだった・・・ということを思い出して、A病院に電話したけど、何も残っていないと言われた。はたまた、すでにA病院は廃業してしまった・・・。

じゃあ、いったいどうすればいいんだ???

初診日の証拠となりうるもの

ちょっと話がそれますが、ここで初診日の証拠となりうるものを列記してみます。

・ 最初に受診した医療機関で作成してもらった「受診状況等証明書」→これが原則です。これがあればベストといえます。

・ 2番目以降の医療機関で作成してもらった「受診状況等証明書」→2番目以降で、これまでの治療経過を聞かれた際に答えたものがカルテに書かれているかもしれません。それも大事な証拠になります。

・ 紹介状のコピー→2番目以降に転院する際、ご自身で持参した「紹介状」のコピーが、2番目以降の医療機関カルテと一緒に残っているかもしれません。それに発症時からの経過等が書かれていれば、大事な証拠になります。

・ 健康診断・人間ドッグ等の結果→会社の健康診断等で検査項目に異常があり、医療機関の受診を促された場合など、その検査結果も大事な証拠になり得ます。ただし、1年分のみの結果ではなく、複数年分のデータがあり、異常値が出る前と出た後の結果があって初めて意味があるでしょう。

・ 入院記録→カルテはなくても、入院時のサマリーが保存されている、という事もあり得ます。

・ 診察券→初診日などが記載されていれば証拠になり得ます。ただし、糖尿病の場合は「内科」の受診などが多く、証拠力としては弱いです。(例えば、精神疾患で「精神科」を受診した場合などは、証拠になり得ますが・・・。)

・ 病院のレセプトコンピュータなどの初診日、病名の記録

・ 2番目以降の医療機関のカルテ(5年以上前に記載されたもの)→この場合には初診日と認める事ができる、と「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取り扱いについて」に記載されています。

色々と手を尽くして探したけど何もない、という場合でも、カルテが残っている一番古い医療機関でカルテの開示請求を行い、そこに5年以上前に記載された「初診日」等の記載があれば、十分証拠になりうると思います。



これら、証拠として認められそうなものを、まずは片っ端から集める。
あきらめずに、動きましょう。(動けない事情がある場合は社労士などに相談しましょう。)


まとめ

その他、申請時には「初診日に関する調査票」の提出を求められるでしょう。以前はアンケートと呼ばれていたものですが、客観的な証拠の他、本人の申立てとつじつまが合っているか? 慎重に判断した上で、障害年金の認定がされます。

糖尿病性腎不全の場合は、何と言っても初診日の証明が重要です。あきらめずに、カルテ開示請求等も利用できる場合は利用してみましょう。

とはいえ、診断書を記入してもらう際にも、「傷病の原因又は誘因」欄に糖尿病等記入してもらう必要があったりと、結構気を遣います。

今日は糖尿病性腎不全で障害年金を申請される方へ、記事を書いてみました。お付き合いくださいまして、ありがとうございました。(社会保険労務士 海老澤亮)