知的障害で障害年金の申請をされる方へ その1

今回は知的障害で障害年金の申請をしようかな? と考えていらっしゃる方へ書いてみます。

療育手帳の等級であきらめない

まず、最初にお伝えしたいことは、療育手帳の等級(東京都では愛の手帳というのでしょうか。)で障害年金の申請をやめてしまう、ということはもったいないことです。

例えば、うちの子の手帳はC判定だから、どうせ無理だろう、学校のママ友が無理だって言っていたし・・・とあきらめるのはもったいないことです。

もったいない、という表現が正しいかどうかは別として、例えばお子さんに軽度の知的障害があり、日常生活が独りでは行えない(何らかの援助が必要)のでしたら、どうぞ障害年金の申請をされるべきだと思います。

私も含めた「親」という存在は、お子さんの将来を常に考え、色々とお子さんからすれば余計なお世話を焼いてしまうものなのかもしれません。でも、障害年金の申請は余計なお世話かというと、そんなことないと思います。

特に、

うちの子はある程度自立して生活できるし、最終的には自立させたい

というかたは、障害年金をもらうことでかえってお子さんの自立が阻まれるのではないか? とお考えかもしれません。

でも、もし障害年金が受給できれば、その分はそっくりよせておいて、将来親御さんが亡くなった後の生活費として、とっておけばいいと思います。

例えば、お子さんにご兄弟がいて、将来ご兄弟の家庭で一緒に生活する、となりますと、ご本人にある程度のお金があった方が何かと都合がいいでしょう。ご兄弟はよくても、その配偶者やお子さんがいらっしゃいます。そのような方々のご理解を得るには、ある程度の経済的なものが必要になると思います。

また、

うちの子は障害年金をもらえるほど重度ではない

ということでしたら、実際に障害年金の申請をしてみて、その結果で

やっぱり、自分の思ったとおりだった

と納得された方がいいと思います。

後になって、あの時障害年金の申請をしておけば、本当はよかったのかも? と思うより、ずっと建設的だと思います。

手帳の等級判定は本当に関係ないの?

「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」では、

知的障害に関して

・ 療育手帳の判定区分が中度以上(知能指数がおおむね50以下)の場合は、1級または2級の可能性を検討する。それより軽度の判定区分である場合は、不適応行動等により日常生活に著しい制限が認められる場合は、2級の可能性を検討する。

とされています。(一部を抜粋しました。)

また、就労しているとしても

・ 一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、仕事の内容が保護的な環境下での専ら単純かつ反復的な業務であれば、2級の可能性を検討する。

とされています。(一部抜粋)

これらを見ますと、IQがすべてではないことはお分かりいただけるかと存じます。また、働いていてもそれが直接障害年金受給の妨げにはなりません。(弊事務所でも、その辺りのことは実務で実感しております。)

ですので、うちの子は等級が低いから、とか、働いているから、とかという理由だけであきらめないでいただきたいのです。

じゃあ、具体的な申請は?

まず、知的障害で障害年金の申請をする場合は、いくつかある障害年金のうち

「障害基礎年金」というものを申請することになります。(他に障害厚生年金、障害共済年金があります。)

障害基礎年金は障害等級1級または2級に該当するときに受給できるものです。

それぞれごく簡単に説明しますと、

日常生活のほとんどに介助援助が必要な状態が1級

日常生活の多くに援助が必要な状態が2級

といえますか。(抽象的で申し訳ありません。)

どのタイミングで申請するか? ですが、知的障害の場合は原則障害認定日は「20歳になった日」となります。(実際の扱いは20歳の誕生日の前日)20歳以降は障害基礎年金の申請が可能です。

では、申請に必要な書類を見ていきましょう。

障害年金申請時の書類について

知的障害の場合は、通常の申請時には必要な「受診状況等証明書」という書類は原則不要です。これは障害年金申請でよく頭を悩まされる「初診日」を証明する書類ですが、知的障害は出生日が原則として初診日になります。

そうすると後は診断書を医師に書いていただくことになります。

この診断書は20歳時点で障害基礎年金を申請されるのでしたら、20歳前後3ヶ月以内の状態で診断書を書いてもらいます。

もっと後になって、(21歳以降になって)申請する場合は、申請する時点の3カ月以内の状態を診断書に書いてもらいます。

20歳の時点に遡って申請する場合は、上記2つの診断書が必要です。

その他、病歴就労状況等申立書、本人の所得証明などが必要です。(詳しくは長くなっちゃったので割愛しますが・・・。)

診断書を書いてくれるお医者さんはどこに?

知的障害で問題になるのが、

「でもこれまでお医者さんにかかってきた訳じゃないし、どこで診断書を書いてもらえばいいんだろう?」ということです。

これはインターネットで調べるなり、電話をかけて問い合わせるなり、の努力が必要になります。残念ながら・・・。

また、なるべく精神科、精神保健指定医の先生に書いていただいた方がいいと思います。小児科の先生でも記入いただく場合がありますが、「精神の障害用」の診断書の書き方に精通した方にお願いしましょう。

この診断書記入のお医者さん選びは重要です。

20歳時点での障害年金申請をお考えでしたら、1年ほど前に1度受診して、こちらの要望(20歳時点で障害年金の申請をしたいので、その際は診断書を書いてほしい)を伝えて、お医者さんの反応を見ましょう。

今回はちょっと長くなりましたので、次回に続きます。お付き合いくださいまして、ありがとうございました。(社会保険労務士 海老澤亮)