精神障害の場合、独り暮らしで2級認定は難しいのか?

精神障害の場合、独り暮らしで2級認定は難しいのか?

  今日は、少し具体的な話をしてみます。
 精神障害の場合、独り暮らしをしていると2級に認定されることは難しいのか?
 という話をしてみます。

障害等級2級の基準とは?

 それではまず、「精神の障害」に限らずに、そのおおもとの厚労省の「障害認定基準」から2級となる方の例示を引用してみます。

(2) 2 級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制 限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとす る。この日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを 必要とする程度とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて 困難で、労働により収入を得ることができない程度のものである。 例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、 それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活 でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえ ば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものである。

 (厚生労働省 障害認定基準  第 2 障害認定に当たっての基本的事項  より引用)

 なかなか、長い文章で読むのに骨が折れますが、このうち

・ 必ずしも他人の助けを借りる必要はない

・ 日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない

・ 例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの

・  家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるもの

 このあたりがポイントでしょうか。(ただ抜粋しただけですが・・・。)

 ここで記載があるように、「必ずしも他人の助けを借りる必要はない」ということで、独り暮らしだから2級には認定しない、という事にはならないでしょう。

 実際に私が申請した方でも、独り暮らしだから2級にはならない、という方はいらっしゃいませんでした。
 社会保険審査会の裁決例でも、日常生活能力が低下している独り暮らしの方に対して、生活上の困難さから2級と判断されたものもあります。

精神障害 等級判定ガイドラインでは

 精神障害の等級認定に大きな影響があります、等級判定ガイドラインを見ましても、

 (表2)総合評価の際に考慮すべき要素の例 欄には

 ③ 生活環境(共通事項)に、

・ 独居であっても、日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合(現に家族等の援助や福祉サービスを受けていなくても、その必要がある状態の場合も含む)は、それらの支援の状況(または必要性)を踏まえて、2級の可能性を検討する。

 と記載されています。家族の援助や福祉サービスを受ける必要性があれば、独居でも2級に該当する可能性はある、とのことです。

まとめ

 障害年金請求の際は、上記の点を踏まえて、

 ・ 独り暮らしでも、周囲の方々からどのような援助を受けているのか、具体的に医師に伝え、また申立書に記載する。

 ・ 援助には、電話や声かけなども含まれるので、些細なこともきちんと伝え、申立書に盛り込む。

 ・ 一人暮らしで、いかに日常生活に支障が出ているか、またそうせざるを得ない理由があれば、それも伝え、書面に盛り込む。

 といったことを行って頂きたいと思います。

 本日もお付き合いくださいまして、ありがとうございました。(社会保険労務士 海老澤亮)

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